うつ病患者の苦しみを理解するには、僕が心にギブスをはめればいいのかもしれませんね。
よく…交通安全教室などでは「ギブスを装着して横断歩道を渡る」なんて体験をすることができます。最近は交通ルールを守らない?(守れない)お年寄りが多いとか。
そして、お年寄りの方々は若い僕達のように運動能力が高くありませんよね。
だから、長い横断歩道を渡ろうとする時は青信号になった直後を狙って渡り出すとかいう工夫を加えなきゃなりませんし、不意を突かれるバイクの飛び出しに反射的に対応できる身体能力なんてのもありません。
ありがちなのが、お年寄りが横断歩道を渡りきれずに起こってしまう交通事故。
もうすでに赤信号に変わってることを認知できても、だったら走り出すという対応ができないんですよね。
そこで、若い人たちがエキスパンダーのようなギブスを着用して、お年寄りの身体能力の疑似体験をするわけです。
するとよくわかるんです。どうして、横断歩道を渡るのにあれほど時間がかかるのか?どうしてパッと体をかわすことが出来ないのか?そして、若い人もお年寄りの気持ちにはじめて共感するのです。横断歩道が長すぎる、信号が変わるのが早すぎる、とね。
うつ病患者の苦しみは外から見えませんからね。
相手の立場になってみないとわからないことなのに、なかなかその立場を実感する機会がない。だから、理解しないまま相手を否定する。「何やってんだ!早くしろ!ホラ!信号、赤に変わってるじゃないか!」
これって、無数にある日本の横断歩道で毎日毎日いくらでもある光景じゃありません?
次々と新しい情報があふれかえる最近の世の中なんですが、案外、身近なところで大事なことを知らないでいる僕ら………なのかもしれませんね。
ところで、「心にギブス」を装着したりなんかするとどうでしょうね?
できるわけないんですが………。うつ病の妻は、いつだって自信が無くて、なにかのアクションを起こす時は必ずタメライマス。
できるかな?ムリかな?やっぱりこわい?「ためらう」だなんて、生活していれば無数に遭遇するシーンに対して合理的にやり過ごすことができないのは、やっぱり、健常者よりも「心体能力」が低下しているからとも言えます。うつ病だから、うつ病でない人のように思考が軽くないんですよ。
じゃあ、僕は妻の心の中の重さをどれだけ理解してる?
「………」
体験していない以上、想像でしか共感できない………それもひとつの回答なんだろうと思います。
でも、僕も心にギブスをはめれば体感、いえ、心感するかもしれません。
「がんばれない」ことがどれほどつらいことかを………。
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