家族の笑顔はうつ病患者の心につたう

笑顔って大事です。

笑顔はわけもなく伝うものですよね？笑顔を向けられた人は思わず笑顔を見せてしまうものです。
不思議なもので、常日頃どんなに憎たらしいと思っている相手がいたとしてもふいに笑顔であいさつされると、不覚にもニッコリしてしまう経験も少なくないのでは？月並みなんですが、笑顔には人の感情を一瞬で変えてしまう力があるんですね。

一方、うつ病のマイナスパワーは強大です。

「うつ病はうつる病気」と言われるほど、心の陰は人を伝うものです。とりわけ、相手が大切な人であるほど「うつる力」は強くなる傾向にあると思うんです。
悲しいかな、心の病気は支える人の心まで折ってしまう力があるんでしょうか‥‥


妻がうつ病になったからというもの、僕の表情も姿勢もなにもかも‥‥妻の病状に相関していたように思います。
カラッと晴れ渡るような目覚めの妻を感じた朝には、僕もさわやかな気持ちで足取り軽く会社に向かい、その日の仕事も何もかもが順調に感じられて帰宅が楽しみ‥‥そんな一日を過ごす僕なんですが、反面、朝から機嫌が悪くて暗くて重い空気だけがどんよりと漂う朝であれば、出社してからも仕事なんて手に着かず家に残してきた妻の病状だけが心配な一日を過ごします。
休憩時間におそるおそる打つ、妻へのメール。
「どんな感じ？大丈夫なの？」
他に気の利いたセリフが思いつかなくてつい「大丈夫？」なんてどうでもいい言葉をメールしてしまう僕は、オロオロしてなにもできない傍観者？
でも、もしものことがあればと悪いことばっかり考えてしまうと本当に心配は尽きませんからね‥‥
計画的な場合もある。衝動的な場合だってある。気分変動って、これまでの一定の振幅幅を超えてしまった時が最も危険だから‥‥
悪いことを考えればキリが無いわけで、それじゃ、会社休んで家で見守ってあげればいいんじゃないの？と言われても、妻の気分が良くないことを欠勤理由だと抵抗なく口にできるほど、僕はノー天気なサラリーマンじゃありません。

うつ病の妻にも勤務先にも気を遣いながら流れていく時間の中で知るのは「うつ病はうつる病気」だということでしたね。

ふと鏡に映る自分の表情と姿勢に、いつもと違う自分を知るような？
そんなとき誰かに笑顔を向けられると、しおれた心に水がしみこむように少しシャンとする気持ちになるんです。
笑顔の力はすごいと思います。双方向的に笑顔が行き来することで生まれる効果は計り知れないのでは‥‥？

このことは、うつ病の妻にとっても言えることなんです。
暗い面持ちでいる妻と同じように僕までも暗い顔してたら、もうたまらなくどんよりとしてしまいますよ。
ただし‥‥
「人がこんなに苦しんでいるのに笑顔向けられたって余計にしんどくなるよ」
と、そういう場面は確かに存在します。
だから、やみくもに笑顔笑顔と励むのもNGなのは当然ですし、やみくもな笑顔は機械的で心が敏感なうつ病患者には「無理してる」ことはバレバレですからね。でも、さりげないスマイリーフェースは、うつ病患者の心にジワリとつたいます。

余談なんですが、やむなく入院してしまったとき、病棟の看護師さんたちは自然な笑顔で接してくれますよね。やつれた表情と疲弊した姿勢の看護師さんは居ませんし、だからこそ入院が必要になってしまったうつ病患者もしっかりと静養することができるんですよ。
一緒になって泣いてくれる共感も大切なんですが、感覚的に笑顔を感じることは折れた心にジワリと効くような気がします。

さあ、僕も口角上げていかなきゃだめですよね。

ところで‥‥僕は入浴の際に「ニャンコの目」をするんですよ。
あ～がり目♪
さ～がり目♪
ぐるっと回って♪
ニャンコの目♪
これを風呂につかりながら、顔をクチャクチャにしながら行います。いろいろと窮することが多いほど、人の表情は固くこわばっていくものですから‥‥単純明快な論拠で強ばった表情をクチャクチャにしてほぐしてあげるということです。同時に、口角を上げて鏡越しに笑ってみる。

ぬるめの湯船につかりながら副交感神経を高めて、表情のストレッチを行うと心までほぐれるようです。そんな僕の笑顔は普段よりもちょっとはマシになったかな？そして、僕の笑顔が妻の心に伝うと良いなと思います。


一緒に泣いてあげられる共感。
笑顔で寄り添ってあげられる健やかさ。
うつ病の妻を支える僕に必要なことは、この二つのバランスだと思うんですよ。