その昔。自閉症の男性をモチーフにしたドラマがありました。
そのドラマの中でこんなセリフがあったんですよね。「三秒以上見ないでください 僕も三秒以上見ませんから………」
このセリフには、当事者の心の視点による他人や社会に対する気持ちがつまっている、と、僕はいまだに印象強く記憶しています。
当時の僕は、このセリフがうつ病の妻の気持ちに重なりました。
当時の妻は、このセリフにうつ病で負い目を感じている自分を重ねていました。二人はこのセリフに、ぼんやりと、強く、共感したんです。
うつ病の妻を支える僕の場合は、もうひとつ、重なった思いがありました。
それは、うつ病家族のことをじっと見ないでほしい。その代わり、僕も健康で明るくて素敵なクリスマスの夜を過ごせるような家族のことを気にしないようにするから。とまあ、そんな気持ちです。
僕はね、障がいを持つ人も精神疾患に関係する当事者も支える家族も、きっと社会的弱者と言われるような人たちの素朴な真実は「三秒以上見ないでください 僕も三秒以上見ませんから………」っていう言葉ひとつにギュッとこめられているような気がしてならなかったんです。
だから、うつ病の妻を支える僕が理解しておくべき「距離感」について学ばされたわけです。
今も目を閉じてこのセリフを思えば、妻の気持ちがひしひしとにじんでくるんですよ。
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