2015/08/02

うつ病の妻といい夫婦喧嘩ができた話

posted by うつ病の妻を支える平凡な夫
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配偶者がうつ病である場合、夫婦喧嘩の中身は少し複雑なものになりがちです。

喧嘩とは基本的に感情のぶつかり合いですから、互いがバーンと感情をぶつけ合えば最後にはスッキリすることも少なくありませんよね。

でも‥‥感情に病勢が混じればどうでしょうか?
その場合、少し複雑です。
僕らの場合であれば、うつ病の妻が感情的になるほどの精神的パワーは持ち合わせていないはずですし、だからこそ、妻が怒ったときはうつ病の気分変動だと自動思考する僕が存在します。
つまり、妻の怒りはうつ病の症状だと反射的に解釈する僕は、自動的に自分の感情を押し殺して迎え撃つスタンスが成立している訳でして、はなっから僕自身の意見や感情を勝者とする気はさらさら無いわけですよ。

配偶者がうつ病である場合、夫婦喧嘩の中身が複雑なものになりがちだという根拠はそのあたりにあるんです。

なおかつ、やっかいなのは常に敗者を演ずる僕の姿が「取って付けた様な態度が不愉快だ」と、彼女の目に映ってしまうことです。

わざとらしい優しさ‥‥とでも言うんでしょうか?病的な被害妄想がそう解釈させてしまうんでしょうか?
とにかく、言うことやることなすこと‥‥その裏をかいた症状という名の感情が僕を攻めこんできます。

それでも、辛抱たまらず反撃してしまえば「うつ病の思うつぼ」となってしまいますからね。知らぬ間に僕は妻でなくうつ病と相撲を取っている状態に陥るわけです。
これ‥‥本当に「うつ病の思うつぼ」ですよね。
ここまでは感情の勢いが実は病勢であった場合の話です。
けれども、患者の誰もが年がら年中、感情は病気に支配されているわけではありません。むしろ、病気である部分は一部であり根底にはれっきとしたその人なりのパーソナリティというか感情というか「らしさ」が流れているんですから、なんでもかんでも病気だ症状だうつ病だと言って片付けてしまうのも大きな間違いです。


ところで、今日は僕たちにもちょっとした衝突が起こりまして‥‥
つまり夫婦喧嘩です。そして、喧嘩のネタとなったのは「結婚指輪」なんですよ。

休日とあって家族でショッピングモールに出かけました。
すると、ブラッと歩く先にとあるジュエリーショップにさしかかったんですよ。
なにげなくショーケース越しに結婚指輪を眺めている二人でした。



女性であれば誰もが指輪の輝きにあこがれるものですよね。
もちろん、妻とて同様。ケースの向こうで照明の光を浴びてキラキラしてる指輪を眺める彼女の横顔は女性らしさに満ちあふれていました。
「欲しいなあ‥‥」
妻がつぶやきます。
実は、彼女の指は結婚生活12年の間に少し太くなっているんですよ。
つまり昔の指輪は入らないということなんです。だから、手持ちの指輪を加工するとか新しい指輪を買うとか‥‥彼女なりに思うところはあったようです。

その一方で、僕の指輪は12年間「はめっ放し」ですから‥‥輝きは薄れ、少し歪み、擦り傷だらけ‥‥。つまり二人とも、そろそろ新しい指輪が欲しいなという気持ちがあったわけです。そんな二人の気持ちも手伝って、偶然通りかかったジュエリーショップに足をとられてしまったような‥‥。
むろん、そこまでは、別に何のトラブルもないんですが。
販売員の方にいろんな方法を教わりながら、加工修理するのか買い直すのか思案しつつ、とりあえずショップをあとにします。
そして帰り道。

妻は言います。
「とりあえず、あたしだけする?」
「は? 僕のはどうすんの?」
「はー?」
どうも話がかみ合わない。
二人で指輪をどうするかとの話題じゃなく、自分のアクセサリーとしてだけの指輪についての話題。
二人の指輪を新調しようかとロマンチック派の僕。
新しいアクセサリーが欲しいだけの現実派の彼女。
根本的に、そこがかみ合っていない二人なのでした。

じゃあ、さっきはそういう気持ちだけで指輪を見てたの? と情けないような愚痴を聞こえるようにしてつぶやいた僕に反応した妻は、それの何が悪いのか?と……
互いに焦点の定まらぬ冷戦状態へと。


男ってこんなもの
女ってそんなもの
なーんて‥‥ひとり感慨深く振り返ってみれば、単なる男と女、夫と妻の、くだらない喧嘩だったような‥‥?

じゃあ、そこにうつ病がどうだ、症状がどうだ、気分変動がどうした? なーんて詮索もなかった僕らの夫婦喧嘩。

そう振り返れば 、不思議なことに僕は素直に感情を出していたなと思うのです。
その都度、彼女の病勢をうかがいながら言葉と行動を選ばずに素直に怒り、ふてくされていたと思います。
うつ病の妻と僕。いー夫婦喧嘩ができたなって思う今日一日でした。

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2 件のコメント:

  1. はじめまして。妻が鬱病になって半年になる30代・二人の娘(小学1年&年中)持ちの亭主です。ネット鬱病を調べるうちにこちらに辿り着きまして、アマゾンの電子書籍版を読ませて頂きました。たいへん自分の境遇と似ているところが多く、その為、共感できるところも多いのですが、まだ夫さんの様に前向きに考えれない自分に、あかんな~って気持ちと、切ない気持ちと励まされる気持ちを頂きました。自分も結婚して依頼妻が鬱病になるまでは仕事ばかりで、妻と向かい合って会話した記憶がありませんでいた。しかし、今は妻との時間・会話や家族という物の大切さをあらためて考えるようになりました。鬱病はまだはじまったばかりで、先は長がそうですが、私も夫さんのように前向きになれるよう、ゆっくり付き合っていけるようになりたいです。今後も、読ませて頂きます。

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  2. こんばんは、初めまして。
    婚約者がうつ病の夫予定(30代)のものです。
    病気になってから、もう5年くらいになります。
    どういう対応をしたらよいかの基本的なことは分かっているつもりですが
    なかなか実践が出来ず、憤りや落胆の日々を送っており、
    知り合いや自分の家族など誰にも相談ができず、患者の家族などが相談できる公共機関もあまり無く(本人は通院しています)
    途方に暮れながらネットをしていたところ、こちらを拝見させて頂きました。
    記事を少し見た段階で、心が(心臓が)大きく揺れる状態に何回もなりました。
    涙が自然と出てきました。
    あぁ、自分だけじゃないんだと。色々な事情はみんな様々だけど、みんな同じような辛い思いをしているんだと。
    読めば読むほど、心に染み渡りました。
    少し、生きていく希望が、生活をする活力が湧いてきました。
    これからも、読ませて頂きたいと思います。
    コメントもさせて頂ければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

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